インタビュー

山田萌 インタビュー

写真提供 木村巧(Twitter:@kmsan7

 ガットギターの柔らかい音と、芯の強いよく通る歌声が魅力のシンガーソングライター・山田萌。ゆったりとしたメロディに乗せて、独自の世界観を持った歌詞を紡いでいく彼女の曲は、聴いていて心地が良い。先月には練馬FAMILYでのレコ発ツーマンライブと、7月にもレコ発ツーマンを行うことを発表するなど、精力的に活動を続けている。ARTICOLUMNでは、山田萌にインタビューを行い、彼女の音楽の原点や素顔に迫った。

取材・文/山崎珠理


元気がない時にも聴けるような音楽

-萌さんはご自身の音楽ジャンルをどう捉えていますか?

 ジャンルとしてはポップスです。でもジャズとかボサノヴァなども好きで聴いているので、そういうところからも要素を混ぜたポップスをやりたいなと思っています。
 前向きなだけじゃなくて、元気がない時にも聴けるような音楽を作りたくて曲を書いています。

-以前、YUKAI HANDS Galleryで木村巧さん(Twitter:@kmsan7)と企画されていた、写真展×ライブ「街を泳ぐ」でライブを見させていただいた時に気づいたのですが、ガットギターを弾いていますよね。このギターでのライブはいつからですか?

 前はアコースティックギターを弾いていたんですが、いろいろな人の曲を聴いていて、ガットギターの音の方が好きかもしれないということに気づいたんです。そこからガットギターを弾いてみようと思うようになりました。今弾いているのはMartinの000C Nylonです。去年の4月くらいに買ったので、弾き始めて1年くらいですね。

-具体的に影響を受けたアーティストは?

 ガットギターを弾く方だと、2年くらい前から青葉市子さんが好きでよく聴いたり、ライブに行ったりもします。メロディの取り方はaikoさんが好きですね。時期によってよく聴くアーティストが変わるんですが、ずっと聴いているのはスピッツさんです。
 最初のきっかけはYUIさんです。中学生の頃にYUIさんを好きになって、私もこれをやりたい!と思うようになりました。高校ではフォークソング部に入ったんですが、ボーカルばかりやっていました。ギターを弾くこともあったけど、高校生の時は歌をずっと歌っていましたね。カバーをたくさんやっていて、YUIさんとかチャットモンチーさん、aikoさんも歌いました。

ガットギターは単音が綺麗

-ご自分のアコギを持ったのはいつですか?

 高校の時は父が持っていたK.Yairiのギターを弾いていました。でもあまり練習していなくて、簡単なコードなら分かるくらいのレベルでしたね(笑)。大学に入ってからちゃんとギターを始めました。
 大学ではバンドをやりたいと思っていて、いくつか軽音サークルを見学してみたんですが、なんとなく合わなくて。最終的に弾き語りサークルに入りました。途中で自分のギターも買って、MartinのD-16RGTを弾いていました。1年前にガットギターを買うまで、ずっとアコギです。

-ライブ活動はいつ頃から始めたのですか?

 活動を始めたのは2018年の1月からです。大学を卒業してしばらくは音楽活動をしていなくて、半年に1回くらいサークルの先輩のバンドにボーカルとしてちょっと参加させてもらったり、OB・OGだけのライブに出たりするくらいでした。
 本格的に活動を始めるきっかけは、2017年の2月に出たライブです。そこで、もっとちゃんと音楽をやりたいと思って、1年の練習期間をとってから活動を始めました。

-活動を始めて1年ほど経ってからガットギターに変えたんですね。ガットギターとアコースティックギターとでは、やはり違いがありますか?

 違いますね。結構違います。音も違うし、合う音楽も違って、同じ曲でもアレンジを変えた方がしっくりくる曲もあります。ガットギターは音が太いので、単音で鳴らした方が存在感があって綺麗です。右手も左手も使い方が変わってくるので、アコギからガットに変えてすぐの頃は慣れるのが大変でした。今もまだまだ練習中です。

紙ジャケットのこだわり

-これまでに『呼吸』『脈拍』と自主制作CDを2枚リリースされていますが、これはどちらのギターで?

 1枚目はアコギで、2枚目はガットギターでレコーディングしました。
 1枚目の『呼吸』は、ライブハウスでレコーディングをしてもらって作ったものです。レコーディングは初めてだったので、音の要望などをしっかり伝えられるように、色々な音源を聴いて勉強しました。それからネットで調べて、三鷹のライブハウス「おんがくのじかん」がすごく素敵だなと思い、そこに決めました。以前ライブを見に行った時に、音響がすごくいいなと思ったことも大きいです。もののあわい(宗藤竜太)さんが、おんがくのじかんでレコーディングされた音源が好きだったので、それをもって「こういう感じがいいです」と伝えて、レコーディングしました。

-2枚目の『脈拍』は宅録音源ということですが、機材はもともと持っていたのですか?

 自分で録音・編集できるようになりたくて、少し前に宅録機材を一式揃えました。迷ったのはコンデンサーマイクとヘッドフォンです。コンデンサーマイクは湿気対策などの扱いが難しいので、日本製で耐久性の高いものにしたくて、audio-technicaのAT4040を買いました。ギターと声を両方録れるものです。ヘッドフォンはSONYのMDR-CD900STを使っています。
 今は持っていませんが、スピーカーも欲しいです。ヘッドフォンでずっと編集作業をしていると耳が疲れてしまうし、エンジニアさんから「ヘッドフォンで作業を続けていると難聴になる」という話も聞いたので。

-宅録音源の制作時間はどのくらいかかりましたか?

 2019年の12月14日にこのCDを出したんですが、レコーディングを始めたのは10月末くらいです。一気に録ったわけではなく、何日かに分けて録りました。声の調子が悪くて録音できない時期もあったので、1ヶ月半くらいかかっています。
 DAWソフトはLogicを使っています。編集作業を初めてやったので、ミックスにすごく苦労しました。色々な音源を聴いたり、ネットで調べたりして知識を得ながらやりました。

-2枚とも紙ジャケットのパッケージですよね。そこにもこだわりがあるのですか?

 紙ジャケットがいいなあと思っていて、トレーシングペーパーの封筒を選びました。プラスチックのケースはかさばるし、割ってしまいそうで心配なのと、プラスチック自体をあまり使いたくないという気持ちもあって。紙ジャケットは耐久性が少し弱いですが、薄くて持ち運びも楽なので気に入っています。
 ジャケットは、『呼吸』は友人に撮ってもらった写真を使っていて、『脈拍』はフリー写真を探しました。母がグラフィックデザイナーなので、デザインをお願いしています。フライヤーを母に作ってもらうこともあります。

-1枚目の『呼吸』は、CD販売のほかにサブスクリプションサービスでも配信されていますね。

 今は申請をすると誰でも配信ができるので、すごい時代だと思います。私はできるだけ多くの配信サービスで聴けるようにしています。仲介業者がいくつかあって、条件などが違うので、それぞれ調べて、どこで仲介してもらうか決めました。

1枚目に発表した『呼吸』はSpotifyほか各種配信サービスにてリリースされている。

伝えたいメッセージを決める

-曲はどのくらいの頻度で作っていますか?

『サンデーモーニング』(『脈拍』に収録)の構想ページ。

 だいたい月に1曲のペースで新曲を作っています。歌詞を思いついた時にメモをするようにしていますが、歌詞から曲を書こうとするとバランスがうまく取れなかったり、曲がつまらなくなったりするので、ギターを弾きながらその場で浮かんだ歌詞を乗せることが多いです。ギターを弾いている時に思いついたフレーズから曲を広げていくこともありますね。メジャーセブンスコードが好きなので、よく使っています。
 歌詞は、伝えたいメッセージを決めて書くようにしていて、自分が日常で見た景色をもとに書いています。完全にストーリーになっていなくていいと思っているので、断片的で、ただ読んだだけではわからない曲も多いかもしれないです。
 歌詞や曲の構想はノートに書いています。忘れないように日付も記入していて。曲の構想から完成版まで、全部1冊のノートに書いてしまいます。

風景写真が好きで

-「街を泳ぐ」でのライブを見にいった時に、物販にポストカードや風景写真を置いてたのが印象的でした。ホームページにも素敵なライブ写真が載っていますが、どなたが撮ったものですか?

 物販に置いているのは自分で撮った写真です。趣味と言えるほどではないんですが、家にあったフィルムカメラを使って撮っています。風景写真が好きなので、人が出てこない写真ばかり撮ってしまいます。
 ライブ写真は写真をやっている友人や、「街を泳ぐ」を企画した木村くんにも撮ってもらいました。アーティスト写真は、友人に撮ってもらったものです。大学からの仲の良い友人なので、遊びながら撮ってもらっています。

-ホームページはいつ頃開設しましたか?

 活動を始めて1年目の、2018年8月に作りました。作り方が全くわからなかったので、友人に下地を作ってもらいました。今は、自分でライブ情報などの更新をやっています。

ライブ動画を撮ってSNSへ

-出演するライブハウスは、どのように決めているのですか?

 最初は、知人にオープンマイクをやっているライブハウスを勧められて、渋谷にあるアコースティックライブバーの七面鳥に行きました。そこで演奏と、一緒にブッキングもさせてもらって、数ヶ月後に出演させていただいたのが初ライブです。
 あとは、SNSに「音楽をやっています」と書いておくと、ライブハウスの方から声をかけていただけることが多いと思います。色々なライブハウスからお誘いをいただけるので、立地や雰囲気を見て決めている感じです。他のアーティストから紹介してもらうこともありますね。最近は、出たいライブハウスに自分からデモ音源を持っていってブッキングをお願いしに行くことが多いです。今は月に3本くらいのペースでライブに出ています。

-いつもライブ後にご自身のライブ映像をSNSであげていますが、いつからアップするようになったのですか?

 ライブハウス高円寺U-hAの店長さんが、親身にアドバイスをくださる方で、去年の7月に初めてそこでライブをやった時に「毎回動画を撮ってSNSにあげたらいいよ」とご意見をいただいたのがきっかけでした。SNSに歌っている動画をあげると宣伝にもなって、そこから声をかけていただくこともあるかなと思っています。今は動画をアップするのと、自分で演奏を見直すためにも録画しています。今までのライブ映像は、すべてパソコンに保存してあります。

-ライブハウスでの活動以外に配信などはしていますか?

 Spoonという配信アプリを2月から始めました。顔を出して配信するのはなんとなく疲れてしまうのですが、Spoonはラジオ配信ができて、音質もいいので気に入ってやっています。配信にマイクやミキサーを使っている人もいるようですが、私は直録りで配信しています。
 そのうちMVも制作してみたい気持ちはありますが、あまり映像のイメージが湧かないので、この人に撮ってほしいなと思う方にお会いできたらお願いしたいと考えています。


【山田 萌】
 東京生まれ、東京育ちのシンガーソングライター。ガットギターを爪弾きうたう。2018年からライブ活動を始め、2019年には2枚の音源をリリース。同年に初の自主企画、ワンマンライブも行う。現在は都内ライブハウス、配信などで活動中。自身の目に映る日々の情景を、やわらかな音と声で紡ぐ。

Twitter:@_yamadamoe
Instagram:@yamadamoe_
facebook:山田萌
YouTube:山田萌
HP:https://yamadamoe.themedia.jp/

【ライブ情報】
4月18日(土) 練馬FAMILY
5月4日(月祝) 練馬FAMILY
7月4日(土)  練馬FAMILY(ぱなえ × 山田萌 レコ発ツーマンライブ)

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