ライブレポート

「Astronomical」feat. Travis Scott ライブレポート

 日本時間4月24日~26日にかけて、ゲーム「フォートナイト」上でラッパーのTravis Scottによるバーチャルライブツアー「Astronomical」が行われた。コロナ禍により世界中の音楽イベントに影響が出る中で行われたこのイベントは、彼身のファンだけでなくゲームプレイヤーたちにも大きな衝撃を与えた。

文/山岸達希


フォートナイト×音楽

 巨大な頭がたくさんある。イベントが始まる2週間ほど前、フォートナイトのプレイヤーたちはその異変に気付いた。フォートナイトとはバトルロイヤル型のシューティングゲームである。様々なゲーム機でプレイでき、オンラインで世界中のプレイヤーと同時対戦できることや、ポップなゲームデザインで幅広い世代から人気を集めており、今や世界中の登録者数は3億人を超える。そのフォートナイトで普段バトルロイヤルのフィールドとなっている島の一部に、何やらステージのような台と謎の人の頭部のオブジェが出現したのである。その正体は数日後の運営による発表で明らかになった。米国出身のラッパー・Travis Scottによるライブ「Astronomical」のためのステージと、彼の像だという。日本時間4月24日~26日のイベント期間で計5回、このゲーム内特設ステージにて彼のパフォーマンスを見ることができるということだった。

 開始30分前から続々とプレイヤーが集まり始め、特設ステージはジェスチャー機能「エモート」を使う人たちによって徐々に熱を帯びていった。曲のイントロに合わせて一体感が高まるその光景は、現実のライブと同じ空気を感じさせた。ライブ開始時刻になると、空の彼方から謎の惑星がゆっくりと近づき、Travis Scottの歌声によって幻想的なバーチャルライブは開幕した。惑星がステージに衝突した次の瞬間、巨大なTravis Scottのアバターがフィールドに出現し、あたりを闊歩し始める。本物のような動きでラップを披露したかと思えば、広いフィールド内を瞬間移動する。曲の雰囲気にマッチした派手な演出は、プレイヤーたちの度肝を抜いた。

Travis Scott 公式YouTubeチャンネルより

 曲調の転換とともに、突如空中に弾き飛ばされるプレイヤーたち。通常とはジャンプ力の設定が異なるようで、まるで空中を浮遊しているかのようだった。空の表情も多様に変化し、赤く染まったかと思えば一面に流星が降る。フィールドは隕石の落下で燃え盛り、普段バトルするフィールドはもはやそこにはない。一瞬の暗闇から、飛び出した何色もの光線が半球をかたどり照らした。静かな曲調になると場面は海底へと移動し、巨大なTravis Scottはそこでは潜水服姿で雄大に漂っていた。曲に合わせた派手な演出は非現実的で幻想的な風景を作り出し、フィールドにはTravis Scottの作り出す世界観が映し出されていた。

 Travis Scottの”Let’s go!”の掛け声とともに、プレイヤーたちは最後の演出、雲の上の宇宙空間にダイブする。やがて最初に飛来した惑星が爆発し、光に向かって引き寄せられていく。視界が戻った時、プレイヤーたちはいつも通りのバトルフィールドに投げ出されていた。ライブパフォーマンスは終了し、ステージと頭の像が残っている以外、なんの変哲もないフィールドに戻っていた。

 わずか1曲分、10分程度のイベントだったが、あまりに非現実的、さらに普段のフォートナイトとも違った演出は実際のライブのような高揚感があった。浮遊感や海底の演出はもともと陸海空すべてを細かく作りこんだフォートナイトならではのもので、またフォートナイト特有のエモート機能によりプレイヤーたちもよりリアルに自らの盛り上がりを表現できていた。フォートナイトのもつ良さを生かすことで、Travis Scottの音楽を知らないゲームプレイヤーも興奮する音楽体験だった。

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